特盛!SF翻訳講座

特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話

特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話

別にSFに興味があるわけではないし、もちろんSF翻訳に興味があるわけがない。まあ、翻訳には興味がなくはないけど、翻訳家になりたいわけじゃない。なのにこんな本を買ってしまった。そして読んでしまった。感想としては、普通に楽しめる。別にSF知らなくても問題ない。SFを知ってればより楽しめるんだろうけど、知らなければ知らないで新しい世界が見れておもしろい。訳者あとがきについての話とかSF翻訳家へいたる道の話とか自分の役に立つとは思えないけど、おもしろい。1800円と少々値段が高い気もするが読むかわからない8000円の本を買うようになると確実に読む1800円の本を買うのにはまったく抵抗がない。それに就職活動のため読書の時間はたっぷりあるのだ*1
基本的にはエッセイ*2だが、翻訳講座らしく英文和訳に役立つことも書いてある。例えば、he/sheを何も考えずに彼/彼女と訳さないとかね。これはわたしもいい方法だと思う。わたしとて中学生の時の選択英語の時間にやった眠れる森の美女の英文(もちろん一部)を和訳するテストでただ一人満点を取った男。英文和訳には自身があったのだ。ちなみにそのテストは日本語としての読みやすさも重要だった。
最近もっとも読む翻訳ものは専門書。専門書では原書にある誤りが翻訳によって見つかったり、原書の分かりにくい部分に訳注を入れてくれたりと翻訳版には日本語で読めるという以外にもけっこう利点がある。さすがに翻訳によって名著になるということはないと思うけど。わたしは翻訳で重要なのは正確さではなくて読みやすさ、面白さであると思っている。誤訳があってもちゃんと読めて、それで面白ければ問題ない。逆に誤訳がなくても、読みづらい日本語では読む気にはなれない。翻訳というのは単なる変換作業ではなく制作活動に近いものなのだ。ただし、専門書は正確さが重要です。上手い日本語で書かれていても内容が間違っている専門書はあまり読みたくないものです。

*1:どこへ行くにも1時間以上電車に乗る必要があるのだ

*2:発音的にはエセイが正しい気がする