「心の傷」は言ったもん勝ち

「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)

「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)

うーん,著者が精神科医だから与太話とは言えないかもしれないが,それにちかい感じの本。客観的データなどはなく,あくまで主観的な意見に終始している。たしかに,「心の傷」や「心の病」というと否定的な意見をいえなくなってしまう現代社会に疑問がないわけでもないので,読んで納得できる部分も少なくない。精神科医が書いたエッセイとでも考えればそれほど悪くないのかもしれない。
しかし,いまや精神科医って言葉は現代思想家とか現代社会評論家とかと同じような響きがある気がする。精神科医は医師免許があるぶん主張におもみがあって逆にこわい。