関取

とある企業の説明会で川崎に行ってきました。片道で2時間半もかかるので、こないだ借りた「綾とりで天の川」を持っていった。本当は返さなくちゃいけないんだけど、このさいそれはよしとしよう。

この本のなかに「二つの業界」という題のエッセイがありまして、何について書いてあるかというと、清水の次郎長について書いてある。そして、ヤクザと相撲取りの関係について書いてある。まあ、これ自体なかなか面白いのですが、重要なのはこれじゃない。深川潜蔵*1という幕末の和学者が言っていることが驚きであるのだ。それを引用しますと(丸谷さんも孫引きしているので、ひ孫引きか。そんな言葉あるか知らないけど)、

今の相撲とりは関取と称するけれど、土俵の上では勇ましいが、たいていは肥りすぎで役に立たない。

これ、今書かれたものじゃないよ。わたしたちは、年末になるたびにこれと同じことを思うわけですけどね。でも、こんなこと、幕末のときから分かってたことなんですね。情報通信が発達したおかげで、自分たちは昔の人よりも少しは賢いと思っているけど、案外変わらないのかもしれませんよ。

*1:本では蔵は旧字