99・9%は仮説

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

一応、理科系の人間なのでここに書かれている感じの生き方はしているつもりです。しかし、人間やはり思いこみというものがあります。「あいつはアカだから*1」みたいのは、最近の学生ですからありませんが、似たようなのはしょっちゅうしてます。物事は一元的に考えたほうが楽なわけです。
この本の主題とも言える「思いこみで判断しないための考え方」事態はそれほど真新しい感じはしないのですが、本に書かれている様々なエピソードが面白い。プロローグの「飛行機はなぜ飛ぶのか?」なんかはワタシは見事にやられました。飛行機が飛ぶ理由は2つとも知っていたんですけどね。まさかそれが両方ともデタラメだったなんて・・・。
あと、第5章に書かれている「インテリジェント・デザイン説」。これについては新聞などで読んで知っていたし、ワタシ自身「進化論を教えないでこんなことを教えるなんてアメリカ(の一部)はどうかしてる」と思っていたのだ。しかし、よく考えてみると、確かにこの章に書かれているように、進化論とインテリジェント・デザイン説は完全に対立する概念じゃないんですね。進化論は進化についてのものであって生命の起源については何も教えてくれない。それに対してインテリジェント・デザイン説は生命の起源そのものを説明するものですから。
たぶん、新聞ではここまで解説してなかったと思います。しかし、その新聞の内容を信じてしまったワタシはやはり「大新聞に書いてあることは真実」という仮説に取り付かれていることになるのでしょうね。
この本は、このようなエピソードを楽しんで、ついでに思い込みで判断しないような考え方が身についちゃった、という感じに読むものです。あくまで主はエピソード(と章末にある頭を柔らかくする仮説)なのです。なので実だけ取りたい人には「特にあたらしい内容はないね」となってしまうのかもしれません。ところで、99・9%の点は中黒なのだがそれでよいのでしょうか。

*1:昔何かの本で出てきたフレーズ。なんの本だっけ?